お猫様の健康は食べ物で決まる

お猫様の健康は食べ物で決まる

私たちは、食べたものから生きていく上で必要なものを得ています

つまり、私たちの体は「食べたものからできている」と言っても過言ではありません。

世の中にはたくさんの食べ物があります。

そして、私たちは食べるものが健康に与える影響を知っています

ジャンクフードを毎日食べ続けたら、多くの人は健康を害しますよね。

だから、私たちは食べるものを選択しています。

お猫様も人と同じ生き物です。

お猫様も食べ物によって健康が左右されます。

ただ、お猫様と人には明確な違いがあります。

「お猫様は食べるものを選べない」ということです。

私たちが与えているお食事以外、食べるものがないのです。

つまり、お猫様の健康は、私たちが握っているのです。

まさに、生殺与奪の権です。

もし、毎日何気なく与えているご飯が、私たちの大切な家族の一員の健康を害しているとしたら、どうでしょうか。

お猫様のお食事、つまり、キャットフードについて、一度見直してみませんか。

お猫様の主食は肉

お猫様は肉食です。

これは、体の構造から分かります。

お猫様とよく比較される犬は雑食です。

お猫様と犬の体の構造を比較してみましょう。

消化器官の構造盲腸がほぼない大腸と盲腸に食物繊維を分解する微生物が存在
小腸の長さ体長の4倍体長の6倍

犬は、食物繊維を分解する微生物を体に有し、消化に時間のかかる食べ物を摂取してもいいように小腸が長いです。

一方、お猫様は、犬のように食物繊維をうまく利用できず、腸の長さも体長の4倍程度です。

ただし、小腸は肉や魚の栄養を消化・吸収しやすいように発達しています。

お猫様は肉だけを食べればいいのではない

お猫様は肉食ですので、たんぱく質からエネルギーを得ています。

一方で、肉だけを食べていればいいかと言えばそうではありません。

自然界では、肉食動物は草食動物の肉と同時に内臓を食べ、内臓の中にある消化された植物を摂取することでビタミンやミネラルなどの栄養素を得ています。

肉だけを食べていると、肉に含まれるリンの過剰摂取につながり、腎臓の負担になります。

お猫様に穀物はダメというのは正しくない

お猫様は、穀物(炭水化物)からエネルギーを得ていません。

キャットフードの中にはグレインフリー(穀物不使用)のものがあり、お猫様にはグレインフリーのものがいいと言われることがあります。

確かに、お猫様は生の穀物は消化できません(人も同じですが)ので摂取しても意味がありませんが、火を通したものであれば消化できます

穀物には炭水化物の他にビタミン、ミネラルなどが含まれており、多様な栄養素を摂取することができます

また、肉の過剰摂取を防止する役割もあります。

一方で、穀物を摂りすぎると、糖質が過剰になり、消化不良や高血糖症を引き起こすこともあります。

バランスが大切ということですね。

なお、お猫様は、穀物(小麦が多いらしい)のアレルギーを持っている場合があるため、その場合はグレインフリー又はグルテンフリーのものを選択する必要があります。

お猫様にとっての理想の栄養バランス

過去の研究によると、お猫様は、自ら取得する栄養素を調整しているそうです。

お猫様が調整しているのは、エネルギー源となる三大栄養素のバランスです。

その栄養バランスは次のとおりです。

たんぱく質脂質炭水化物
重量ベース約60%約21%約19%
カロリーベース約48%約37%約15%

この栄養バランスは、自然界でお猫様が生活した場合に取得する栄養バランスに近似しているとのこと。

また、お猫様は1日に取得する炭水化物の量を、体重1㎏当たり3gとしているようで、それ以上になるとお食事をしないそうです。

ということは、この栄養バランスに合わせてお食事を整えてあげることが、お猫様のお食事として最適であると言えます。

お猫様にとって最適なのはウェットフード

ウェットフードドライフード

お猫様にとってどちらがいいかと言われれれば、ウェットフードです。

なぜなら、ウェットフードは水分を含んでいるからです。

お猫様は、元々乾燥地帯で生きてきた動物なので喉が渇きにくいです。

ただ、水分不足になると尿石症や膀胱炎といった病気を引き起こしやすくなります。

また、ドライフードに比べてウェットフードの方が原材料が少なく、余計なものが入りにくいです。

一方で、ドライフードはウェットフードに比べて価格が安く、1食当たりの体積が少ないので保管スペースが少なくて済むという利点があります。

ウェットフードとドライフードの比較をまとめると、次のとおりです。

ウェットフードドライフード
水分  
安全性  
栄養価  
経済性  
保管スペース  

ドライフードがお猫様のお食事を支える

お猫様にって最適なのは、ウェットフードです。

ただし、ウェットフードは価格が高いですし、ウェットフードは水分が多いためエネルギー量が少ないので、ウェットフードだけでお猫様が一日に必要なエネルギーを確保するのは難しいです。

このことから、一般的にはドライフードがお猫様のお食事を支えることになります。

一方で、ドライフードは固形にする関係上、炭水化物の量が多くなってしまいます。

お猫様は炭水化物の量を自ら制限しますので、一定の炭水化物を取得するとそれ以上お食事をされません。

その場合、炭水化物の割合が高いドライフードだと、1日に必要なエネルギーや栄養素を確保できなくなる可能性があります。

よって、お猫様のお食事を考える場合は、炭水化物の量が少ないドライフードか、ドライフードにウェットフードや他の食材を組み合わせる必要がありそうです。

給餌量はお猫様が必要とする1日のエネルギー量から決まる

お猫様が1日に必要とするエネルギー量をDERと言います。

DERは、体重、ライフステージ、その猫の状態によって異なります。

DERは、RER(安静時エネルギー要求量)に、ライフステージや状態に応じた係数を乗じて求めることができます。

RER(安静時エネルギー要求量)
RER = 70 × (体重)0.75
DER(1日当たりエネルギー要求量)
DER = RER × (係数)

DERの算出するためのRERに乗じる係数は、ライフステージや状態により異なりますが、「避妊・去勢済の成猫」の場合の係数は「1.2」になります。

この場合のDERは体重別に次のとおりになります。

体重RER(kcal/日)DER( kcal/日 )
1㎏70.084
2㎏117.7141
3㎏159.6191
4㎏198.0238
5㎏234.1281
6㎏268.4322
7㎏301.2361
8㎏333.0400
猫の体重ごとのRER及びDER早見表

国産だから安心という訳でもない

国産と聞くと、どういうイメージを思い浮かべるでしょうか。

  • 安心
  • 安全
  • 良質

こんなイメージを持たれることが多いと思います。

安全

良質

こんなイメージを持たれることが多いと思います。

ですが、キャットフードにおいては、国産だからと言って必ずしもいいものとは限りません

国産だからという理由だけで盲目的に信用するのは危険です。

もちろん、良質な国産のキャットフードもありますので誤解しないでくださいね。

お猫様の主食は総合栄養食を

キャットフードには、総合栄養食一般食(副食・目的食と書かれている場合もあります)があります。

このうち、お猫様の主食は総合栄養食です。

総合栄養食には、その名の通り猫に必要な栄養素が入っているものです。

一般食は、いわゆるおやつです。

一般食は栄養に偏りがあるので、一般食だけを与えていたのでは必要な栄養素を確保できません。

お猫様は見た目で食べ物を選ばない

見た目が鮮やかな食べ物はおいしそうに見えますよね。

なので、人の食べ物には着色料がよく使われています。

同じように、キャットフードにも着色料が使われている場合があります。

お猫様も人と同じように見た目で食欲が変わるのでしょうか。

答えはノーです。

お猫様の食欲に影響があるのは匂いです。

着色量が使われていても、大きく健康を左右するものではありませんが、必要のないものは入っていない方がいいですよね。

与えるキャットフードはローテーションで

「うちのお猫様にはコレ」という風に、一種類に決めている方もいるかもしれません。

そのキャットフードがどんなにいいものであっても、いつ何時でも安全という訳ではありません。

過去には汚染されたペットフードが出回った事件がありましたが、その中には有名なプレミアムフードも含まれていたそうです。

このリスクを回避するためには、複数のキャットフードをローテーションで与えることが有効です。

これにより、お猫様の健康被害を軽減することができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

お猫様の健康は食べ物で決まります。

そして、その食べ物を与えているのは私たちです。

私たちの選択がお猫様の健康を左右するのです。

しっかり調べて、私たちの家族の健康を守りましょう。