キャットフードのパッケージには成分表がありますが、そこには必ず次の成分の割合が記載されています。
- たんぱく質
- 脂質
- 繊維質
- 灰分
- 水分
それぞれ、お猫様にとってどのような成分か確認していきましょう。
「たんぱく質」は最も重要なエネルギー源
たんぱく質はお猫様にとって最も重要なエネルギー源です。
人は主に炭水化物を分解して糖を作り出すことでエネルギーとしています。
一方で、お猫様は肉食動物ですので、たんぱく質から糖を作り出してエネルギーとしています。
よって、たんぱく質が不足すると、体を構成する筋肉などのたんぱく質を分解してエネルギーとすることになり、成長不足や筋肉の衰え、被毛のパサつきなどが起こってしまいます。
たんぱく質は多くのアミノ酸で構成されており、お猫様に必須のアミノ酸は11種類あるとされています。
- アルギニン
- ヒスチジン
- イソロイシン
- ロイシン
- リジン
- メチオニン
- フェニルアラニン
- スレオニン
- トリプトファン
- バリン
- タウリン
これらのアミノ酸は体内で合成できないので、食べ物から摂取する必要があります。
「脂質」は第2のエネルギー源
脂質は、哺乳類の三大栄養素である「炭水化物」「たんぱく質」と並ぶ栄養素です。
お猫様は肉食動物ですので、たんぱく質と脂質からエネルギーを得ることを得意としています。
よって、脂質はお猫様にとって第2のエネルギー源と言えます。
また、脂質は次のような役割を担っています。
- お猫様に必要不可欠であるビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンの吸収の促進
- 皮膚や被毛の健康の維持
- 炎症反応を抑える働きがあるEPAやDHA、γリノレン酸などの脂肪酸による関節炎や皮膚炎などの炎症性疾患の予防
- なお、お猫様に必要な必須脂肪酸(体内で合成できない)には次のものがあり、食事により摂取する必要があります。
- リノール酸
- アラキドン酸
- α-リノレン酸
ただし、脂質の摂りすぎは人と同じで肥満になりますので、注意が必要です。
「繊維質」は体調を整える
繊維質は次の役割を担っています。
- 腸内環境を整える
- 血糖値の上昇を抑制する
- コレステロールの吸収を抑制する
- 下痢や便秘を抑制する
繊維質は体をつくる栄養素ではありませんが、猫の体調を整える役割を果たしていることが分かります。
「灰分」は体の調整役
灰分(かいぶん)とは、カルシウム、鉄、ナトリウム、マグネシウム、リン、カリウム等のミネラルのことを言います。
なぜ「灰」なのかというと、ミネラルは無機質なので食品を焼いて残る灰の成分ということが名前の由来です。
ミネラル分は、体の器官や組織、体液の構造成分になっており、筋収縮などの役割を担っています。
よく、人が足が攣る原因としてミネラル不足が挙げられますね。
「水分」は不足しやすい
お猫様は、乾燥地帯が原産であるため、飲水量が少なくても生きていくことができ、喉の渇きも感じにくくなっています。
一方で、水分の摂取量が少ないと次のような病気につながります。
- 尿が濃縮されることによる尿石症や膀胱炎
- 便秘の慢性化による巨大結腸症
お猫様に必要な1日の水分量は、体重1㎏あたり50ml程度です。
複数の水飲み場を用意したり、ウェットフードを与えるなど、水分を補給しやすい環境を整えることが重要です。
お猫様が求める栄養バランスとは
キャットフードの五大成分についてまとめてみました。
ところで、お猫様にとってこれらの成分の栄養バランスについて、興味深い記事をみつけました。
お猫様は「自分の体に必要な栄養バランスを生まれつき知っており、そのバランスを崩さないようにご飯を食べる」というものです。
そのバランスとは次の表のとおりであり、この割合は自然の中で魚などを食べて暮らすときに近いということです。
たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | |
重量ベース | 約60% | 約21% | 約19% |
カロリーベース | 約48% | 約37% | 約15% |
また、炭水化物の摂取量に関しては、概ね体重1㎏当たり3gという上限があり、この上限を超えると、たとえ空腹でもそれ以上のご飯を食べなくなったそうです。
猫も自分の健康を気遣っているということですね。
ということは、この割合になるようにお猫様のお食事を考えることが、お猫様にとっても、私たちにとっても合理的と言えそうですね。
参考:子猫の部屋(猫の栄養バランス)
- 炭水化物の割合の算出方法
- 炭水化物 ≒ 1-(たんぱく質+脂質+繊維質+灰分+水分)